大型図録本久隅守景英一蝶印譜署名落款印章掛軸夕顔棚納涼図屏風四季耕作図屏風山水図山水画風俗図文人画水墨画江戸時代日本画掛軸写真解説 コレクション

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大型図録本 久隅守景/英一蝶
日本美術絵画全集16 集英社 昭和53年 カラー・モノクロ 147ページ 40x31x3cm 函入り カバー付き上製本

※絶版

江戸時代中期を代表する日本画家、久隅守景と英一蝶の真作名品ばかりを集めた、細部まで見やすい大型図録本。 作者名、画題、国宝・重要文化財指定、制作年代、材質、技法、寸法、所蔵者の他に、署名落款印章を掲載した印譜、作品の詳細な解説を収載。
屏風や襖絵などの大作から煎茶道具、茶掛、掛物として愛好される小品までを網羅した、 骨董品、水墨画、人物画、古美術愛好家必携の貴重な情報満載の資料本。 超ワイド版・日本美術絵画全集のうちの一冊。
<監修> 田中一松(前文化帳文化財保護審議会委員) 松下隆章(京都国立博物館長) 源豊宗(前文化帳文化財保護審議会専門委員)


【目次】 図版 守景/一蝶 小林忠 文献/資料 小林忠 落款/印章 作品解説 小林忠・榊原悟 年譜 参考文献 挿図リスト
【図版目次】 久隅守景 ●原色図版 夕顔棚納涼図屏風(部分)文化庁 夕顔棚納涼図屏風 文化庁 四季耕作図屏風 四季耕作図屏風 石川県美術館 四季耕作図屏風(左隻部分) 四季耕作図屏風(右隻部分)石川県美術館 鷹狩図屏風(右隻部分) 賀茂競馬・宇治茶摘図屏風 東京大倉文化財団 賀茂競馬・宇治茶摘図屏風(左隻部分)東京大倉文化財団 賀茂競馬・宇治茶摘図屏風(右隻部分)東京大倉文化財団 賀茂競馬図屏風(右隻部分) 鍋冠祭図押絵貼屏風 佐野渡図(部分) 琵琶行図(部分) 近江八景図屏風 山水図 都鳥図 朝暾梅花図 伝久隅守景筆 藤村庸軒八十七歳像 自賛 ●単色図版 十六羅漢図壁貼付滋賀 聖衆来迎寺 楼閣山水図襖 富山 瑞龍寺 放牧山水図屏風 四季耕作図屏風(右隻)西ベルリン国立美術館東亜館 四季耕作図屏風(右隻)石川 山川美術財団 人見四郎図 猿猴捉月図(部分) 蓮に翡翠・竹に兎図 石川 山川美術財団 山水図 東京国立博物館 山水図 東京国立博物館 山水図 山水図 山水図 山水図 浦湘八景図 兵庫 穎川美術館 山水図 清原雪信筆 小野小町図(部分)
英一蝶 ●原色図版 朝暾曳馬図(部分)東京静嘉堂 嵐山春景図 小督局隠棲図 琵琶に萩図 布晒舞図 埼玉 遠山記念館 松風村雨図 四季日待図巻(第三段部分)東京 出光美術館 四季日待図巻(第四段部分)東京 出光美術館 吉原風俗図巻(第三段) 吉原風俗図巻(第五段) 雨宿図屏風 東京 国立博物館 雨宿図屏風 紀貫之雨乞図(部分蟻通図) 社頭図(蟻通図) 社人図(蟻通図) 社人・順礼図 高雄・鞍馬図 東京芸術大学芸術資料館 見立琴棋書画図屏風(右隻部分) 見立琴棋書画図屏風 見立琴棋書画図屏風(左隻部分) 見立琴棋書画図屏風(右隻部分) 田園風俗図屏風(右隻部分)ワシントン フリーア美術館 田園風俗図屏風(左隻)ワシントン フリーア美術館 月次風俗図屏風(左隻)ボストン美術館 木立に桜図 富士山図 東京国立博物館 牡丹花肖柏図(故事人物図巻) 花鳥図東京国立博物館 猿猴捉月図(雑画帖)東京 大倉文化財団 獅子舞図(雑画帖)東京 大倉文化財団 不動尊に悪童の図(雑画帖)東京 大倉文化財団 柿栗図(雑画帖)東京 大倉文化財団 ●単色図版 芭蕉句賛 蓑虫図 奈良天理大学附属図書館 岩頭白鷹図 雨宿図 傀儡師図(部分) 見立蘆葉達磨図 一休和尚酔臥図 仙人図 王昭君写貌図 白楽天隠棲図 鍾馗図 千山句賛 鶏図 鴨長明・宗祇図(部分) 唐子遊図(流書巻物) 社前狂言図押絵貼屏風
【協力】 石川県美術館 石野八太郎 出光美術館 稲根神社 植松平八 梅田仁 穎川美術館 大倉文化財団 加藤豊明 京都国立博物館 教林寺 組田昌平 クリーヴランド美術館 光明寺 壷中居 サントリー美術館 聖衆米迎寺 瑞龍寺 静嘉堂 関口誠也 大聖吉宣 知恩院 天理大学附属図書館 東京芸術大学芸術資料館 東京国立博物館 東京大学附属図書館 遠山記念館 富田平八 西ベルリン国立美術館東亜館 日東紡績株式会社 不言堂 フリーア美術館 文化庁 ボストン美術館 細見実 前田浅夫 前田健二 前田長八 松本佐吉 藪本公三 山川美術財団 山下白庸
【凡例】 一、図版ネームは、図版番号、作者名、画題、指定、制作年代、材質、技法、寸法、所蔵者の順に記載した。 一、画題の名称は、一般に通用しているものに従ったが、なかには執筆者が選定、命名したものもある。 一、制作年代は、明確なるもののみ表記し、推定年代は表記しない。 一、作品は、部分図を掲載した場合には、挿図、その他で全図を示すようにした。 一、本巻の作品のうち屏風の表記で、右隻。左隻とあるのは、一般に通用しているとおり、見者から向かって右隻、左隻の意である。 一、所蔵者の表示は、国、博物館、美術館、寺社、学校など公共機関にのみとどめた。 一、引用文献は、原文が漢文の場合は原則として読み下し文、もしくは訓読符号を附した。 一、本文、作品解説中で(図1)は、原色図版および単色図版の図版番号を、(挿―)は、挿図の番号を示すものである。 一、年譜における年齢は「数え年」を用いた。
【江戸時代狩野派の異端児】より一部紹介 一 創造の自由を貫いた画家たち 本巻に紹介する二人の画家、久隅守景(生没年不詳、活躍期は十七世紀前半から末に及ぶ)と英一蝶(一六五二~一七二四)は、江戸時代初頭の狩野派が生んだ異色の画家として知られる。 すなわち、守景は狩野探幽(一六〇二?七四)門下四天王の筆頭と目された俊才であり、一蝶は探幽の末弟安信の、出藍の誉れ高い門下生であったが、後年ともに師家の狩野家から破門されたと伝えられ、幕末期には解除されるものの、長い同作品の鑑定すら拒まれるといっ た仕打ちをすら受けるに至ったという。 このような不幸な結果は、いったいどのような事情から導き出されたものだったのか、そのことを探っていくと、守景と一蝶の行状や画業の実態が、幕府の御用絵師として身を持す狩野派画人一般のそれと、いかに大きく離反し、懸隔するものだったかということが、おのずと浮び上ってくるようだ。 そもそも、守景と一蝶の二人に共通して認められる特異な点は、画家みずからの感性に頼る清新な物の見方、既成の通俗的なイメージから離れてする柔軟な主題の解釈、そうした自由な立場から選択されたとりわけ個性的な表現形式、それらをおのおのの画業の主要な展開のうちにはっきりと貫き通していることだろう。 とり立ててあげたこの三点、すなわち、画家の目の前にひろがっている混沌として多様な「もの」と「こと」を、いかに見、いかに解釈し、いかにして表わすかということは、自己の存在をかけて画面に対する莫に創造的な芸術家にとってみれば、しごく当り前な行為であるにちがいない。しかし、彼らが置かれていた当時の状況、とりわけ狩野派の内部にあっては、むしろそうした自由な絵画世界の追求は、できるかぎり抑制し、忌避すべきことがらに属していたのである。彼らの不幸の第一の要因が、そのような保守的で退嬰的な絵画界の風土にあったことは間違いない。二人の画業の実際について紹介する前に、その間の事情についてまず一瞥しておく必要があるだろう。(以下略)

【作品解説】より一部紹介 1・2 夕顔棚納涼図屏風 久隅守景 国宝 紙本墨画淡彩 二曲一隻 一五〇・五×一六七・五cm 文化庁 「夕顔棚納涼図屏風」は、守景畢生の名作としてつとに名高い。粗末な藁葺小屋の軒先にさし出した夕顔棚の下に莚を敷いて、親子三人水入らずで夕涼みにくつろいでいる。夏の夕暮、中空にはほのかに月も浮かぶ。口ひげをはやした父親は、肌も透ける薄物の襦袢をまとい、頬杖をつきながら腹這いになっている。そのかたわらには母親が、湯上りか、洗いたての黒髪を背に流し、白い腰巻を付けただけの半裸ですわる。背後では、子供も片肌ぬいで涼をとっている。 夕顔棚の下で一家団欒夕涼みにくつろぐというこの絵の主題は、実は守景の創造したものではなく、秀吉の北政所の甥で、歌人としてきこえた風流隠士木下長嘯子 (一五六九~一六四九)の和歌、 夕顔のさける軒はの下すゝみおとこはてゝれ(襦袢)めはふたの物(腰巻) に取材したものといわれている。この長嘯子の歌は、相当人口に膾炙したようで、守景以後、画僧古間明誉(一六五三~一七一七)や山口素絢(一七五九~一八一八)なども同じくこの歌に材を取った作品を遺している。 ところで、古間や素絢の作品がいずれも小幅であるのに比し、守景は、二曲一隻の大画面に描いた点、彼の非凡な才能がうかがわれる。画面は極度に簡略化され、夕顔棚の下の三人物のみに焦点を絞り、背景はいっさい省略して大きな余白とし、しみじみとした余韻をただよわせる。墨色の濃淡を基調に、色彩はできるだけ押えられ、代赭と淡い藍、それに唇に点じられた朱のみにとどめられたため、大きな余白の効果とあいまって、画面からは、月あかりのほの白さの中、夏の夕涼みのここちよさが伝わってくるかのようである。 また、対象に応じて自在に使い分けられた描線は、守景の優れた描写力を如実に物語っている。妻の肉づきのよい色白の肉身を表わすしなやかに流れるような美しい細線は、薄紅でくくられ、豊かな量感をあらわすとともに、きめ細かい女性特有の肌の張りまでも表現している。一方、無骨な夫の手足には、太めの抑揚をつけた描線が使われ、労働によって培われた農夫のたくましい肉体をあらわす。さらに、夕顔の葉や実にみせる軽妙洒脱な略筆、茅屋を描く禿筆描など多彩な描法も駆使され、本図が守景円熟期の作品であることを想像させる。 画面向かって左下に「守景筆」の落款と「久隅」の朱文長方印が認められる。(榊原)
3・5四季耕作図屏風 久隅守景 重要文化財 紙本墨画 淡彩 六曲一双 各一五丁○×三四七・〇cm
4・6四季耕作図屏風 久隅守景 重要文化財 紙本墨画 淡彩 六曲一双 各一四六・〇×三四七・五cm石川県美術館 耕作図という画題は、もともと中国から伝わったもので、機織図などと同様、封建支配者層が民の労苦をしのぶための教訓として描かせたものである。したがって日本でも漢画方面の画題として早くから登録されているが、それらは通例、大仙院の伝狩野之信画に見るごとく中国風俗のままに直訳して描かれるのが普通であった。しかるに守景は、そうした中国画風の作品のほかに身近な日本の農村風景に取材し、さらに四季絵の情趣性を加味して、単なる鑑戒画から離れた味わい深い田園風俗画へと自由な翻案を加えてみせている。 第三・五図は、向かって左隻に浸種、耕耘から田植にいたる春夏の景、右隻では収穫、脱穀の作業に忙しい秋景のほか遠望される雪山に冬季を担当させ、一双あわせて四季通年の景物を遺漏なく織り込んでいる。季節の推移が普通とは逆の方向、すなわち左から右へと展開するのは、守景画の特色として注目される。潤いに富んだ水墨の微妙な調子とそれによくなじんだ淡彩により、広々として奥行のある空間が親しみ深く設営され、その間に配置される人物たちの労働し、休息する諸態は、軽妙な筆致によって的確に描写されている。守景のやさしい心と目が周囲の自然景やその中に営まれる人々の生活風俗とよく通い合った、なつかしい日本の農村図となってい る。署名は「無下斎」、印は朱文方印「捧印」が用いられる。(以下略)
42 松風村雨図 英一蝶 紙本着色 一幅 三一・四×五六・五㎝ 「布晒舞図」(図41)と同じ落款形式、すなわち「藤牛麻呂書」の署名と「愛慕古」と読める朱文方印が用いられ、人物の姿態や衣文描にも共通するものがあるところから、やはり配流時代の作と考えられる。 画題の松風村雨とは、在原行平が勅勘を蒙って須磨に配流された時、そのつれづれをなぐさめた二人の美しい姉妹の名である。行平が赦免されて帰洛する折に、形見にのこしていったのが、松の枝にかかる冠と唐衣であって、二人は、 かたみこそ人はあだなれこれなくぱわするることも ありもこそすれ と詠じ、明け暮れしきりに行平を思慕するうち、ついに狂女となってしまったと伝えられる。流人の画家にとって身につまされる主題であり、それこそ画家自身の形見の品として描き贈ったものだろう。 画材に不自由したこの時期のこととて、絵具の質は悪く、色数も限られているが、その悪条件の中で、やや芝居がかった月夜の浜辺での情景が、効果的に表わされている。ことに、海面や松の根かたに施された微妙な藍や墨は、月の光の所在を伝えるとともに汐汲み姿の姉妹を印象深く際立たせており、気がさいている。 なお、高嵩谷の「是(朝湖信香時分にて(略)出来も宜敷御座候」と極めた宛名不明(その部分を切りとってある)の書簡一通が付属する。(小林)
43・44 四季日待図巻 英一蝶 紙本着色 一巻 二七・一×七六二・〇㎝ 東京 出光美術館 日待や月待は、元来神道の祭事であり、その時には、人々は前夜から潔斎精進して、終夜眠ることなく日の出を待ち、朝日を拝む(月待は早朝から同様にして月の出を待つ)というものであった。しかるに、元禄の世を迎える頃には潔斎は遊興へと変わってしまい、夜通しさまざまな遊びを楽しむ行事としてさかんに流行した。当時日待の祭事は、正月、五月、九月の吉日を選んで催されたらしい。 さて本図巻は、区画された四段をもって構成されており、夕暮より朝を迎えるまでの一夜の経過を、初段・二段は春浅い正月、三段は五月、四段は九月という具合に、四季の推移に重ね合わせて描写されている。 段を追ってしだいに興趣を高める序破急の歯切れ良いテンポ、すやり霞の効果的な使用や、吹抜き屋台構図を用いた俯瞰描写など、古典絵巻の学習にも怠りない一蝶の修養の深さがうかがわれる。また、主題の関係上夜の室内描写に終始するが、障子に映る人影の動きを写し留めて、単調に流れる危険から逃れる工夫もみせている。 「朝暾曳馬図」(図37)などの作例でも知られているように、光と影との対比を鋭敏な感覚でとらえ、(以下略)

★状態★ 昭和53年のとても古い本です。 化粧函にスレ、小きず(特に背の部分)などあり、カバーに軽度の折しわ、袖部にうすいしみあり。 天小口、本文余白部に経年並ヤケしみなどありますが、カラー写真図版良好、 問題なくお読みいただけると思います。(見落としはご容赦ください)
<絶版・入手困難本>オークションにも滅多に出ない、貴重な一冊です。 古本・品にご理解のある方、この機会にぜひ宜しくお願いいたします。

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